鬼と影 ~新たな誓い~ 血濡れの槍、鬼神の覚醒

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平九郎は精神の昂りを感じると同時に、それ以上の驚愕を感じて居た… (身体が…軽い…?) 元々平九郎は60近い年齢であり、最近は日頃から体力の衰えをひしひしと感じて居たのだが…現在の平九郎の身体は衰えを感じるるどころか、逆に男達と戦えば戦う程キレが増し、研ぎ澄まされていく感覚がしていた。 (気が付けば知らぬ地に居り、身なりは若返り、腕は増して居る…面妖な…) 平九郎は始めは戸惑うものの、続けて来た血と鉄の匂い…『戦』の匂いに心が踊った。 そして気づけば平九郎は笑みを浮かべて居た… そして、 「フッ、戦の最中に考え事は…無粋よな…」 そう小さく呟いた後、右手で掴んで居た獅噛を風車の様に回転させて、穂先の血を払った。 そして、平九郎は身体を僅かに右に開き、獅噛を握り直した後、穂先を賊の先頭の男の左肩へ向け、ピタリと構えると… 「さぁ、この鬼が貴様等を喰らってくれよう…」 そう犬歯を覗かせながら、阿修羅もかくやと思わせる笑みを浮かべながら、目にも止まらぬ神速の踏み込みで、賊の集団に飛び込んで行った…
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