35人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ・・・俺だよな・・・・。」
青年は震えた声で言った。
“それ”をどうにかする手もなく、ただ青年はこうして立ち尽くすことしかできない。
「・・・・緒方洋二郎様と武田佑介様ですね。」
いつの間にか黒いスーツに身を包んだ黒づくめの男が立っていた。
顔にはお面をしていたが、声で性別が判断できた。
忍者ハットリ君のお面だ。こうして見ると、あの愛らしい顔が不気味に見える。
「こちらへ来て下さい。」
黒づくめはそう言い、この部屋のドアの方へ歩き出した。
「ほら.いくぞ。」
佑介はそう言い、洋二郎の腕を掴んだ。
「・・・・・。」
洋二郎は無言のまま、“それ”の脇に立ち尽くしている。
「いくぞ!!」
佑介は無理矢理、放心状態の洋二郎の腕を引っ張って、黒づくめについていった。
“それ”の隣には、武田佑介と書かれた紙の貼ってある、透明な囲いがあった。
その中の青年にも何本ものチューブが繋がれ、周りには数々の生命維持装置のようなものが置かれていた。
ピー.ピー.ピー
最初のコメントを投稿しよう!