開始

5/20
前へ
/104ページ
次へ
洋二郎と佑介は、均等に並べられた椅子の一番後ろの列に座った。 佑介は、本当に冷静だ。 自分の身体にどこか外傷がないか。周囲を見渡し、ここがどこなのか、いったいこいつらはなんなのか、あの透明の箱に入っていた自分はなんなのか、を理解しようとした。 幸いにも、佑介の身体にも洋二郎の身体にも外傷はなかった。 しかしそれ以外のことは、からっきし情報がないので一切わからない。 唯一の情報としては、あの黒い名刺だけだ。 佑介は、じっくりと名刺を見たが、何もわからない。佑介は“くそッ”と呟き、下を向いた。 洋二郎はというと、椅子に座ってからずっと下を向いている。 「なにが起ったんだよ・・・。」 洋二郎は終始そう呟いていた。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加