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男がデリートされてから1時間くらいたつが、佑介はずっと足を震わせている。
「佑介・・・」
洋二郎は佑介を励ますように震えている足に手を置いた。
「ご、ごめん・・・・。も、もう落ち着くから・・・・」
佑介は震えた声で言った。
「あの・・・・」
背後から声がしたので、洋二郎は振り返った。
声の主は先程この部屋に来た“上野紗季”だった。
「は、はい?」
上野は本当に際どい格好で、ほとんど裸に近い。
洋二郎は目線のやり場に困りながら返事した。
そして結局、顔だけを見ることにした。
「ここ・・・・どこですか?」
上野は今にも泣きそうな目で洋二郎を見つめて言った。
「おれもわからないんです・・・・・・」
洋二郎は申しわけないといったふうな顔を上野に見せた。
「わたし、死んだはずなんです・・・。
お風呂から上がって着替えてたら、家のドアが開いてサングラスとマスクをして顔を隠した人が入ってきて・・・・。わたし怖くてその場から動けなくて・・・・。
そしたらその人がわたしに気づいて、カバンから拳銃を取り出して、バンッてわたしに打ったと思ったら、なぜかあの部屋にいて・・・・。」
上野は泣きながら洋二郎に一部始終を話した。
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