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道行く人をあざけ笑うかのように容赦なく世界を照らす、灼熱の太陽。
優に35℃を超えている気温とそれがあいまって人々の体力を奪い続ける。
―あぁ...暑い。異常だろ、この暑さいい、信号の変わる遅さといい....。
時刻は午後の6時前。緒方洋二郎は一人ぽつんと大通りの信号が赤から青に変わるのを待っていた。
もう太陽は沈むころだが、照らす力を弱める気はないようだ。
―ほんと暑い・・・・。
「あ・・あのー・・・・すいません・・・・」
洋二郎の後ろから老婆の声がした。
「はい??」
洋二郎はそっけなく返事し、若干老婆を睨んだ。
「聞きたいことがあるんですけど・・・西安寺ってこの道でよろしいんでしょうか??」
「はい、多分そうですよ」
―ほんとは違うけど、説明すんのだるいからいいや。ていうか自分で探す努力をしろよ、努力を・・・。
「ありがとうございます・・・」
老婆は深く礼をした。
後ろで“西安寺は向こうですよ”という主婦の声がする。
―罪悪感なんかねぇよ・・・。くそッ、暑ちぃー、もう限界だ。戻ってコンビニでアイスでも買お・・・・・。
洋二郎は来た道を引き返し、コンビニを目指した。
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