第十三章〓交差し輝く絆の軌跡〓

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「おじさん…なんで…。」 竜也は戸惑う。何故ならその男は紛れもなく夢の父親だから。 菱野木 仁。ごく普通のサラリーマンで、ごく普通の優しい父親な男であった。 そんな男が破滅をもたらす存在などと考えられるものではなかった。 「夢…。下がりなさい。これは死堕神対六真竜の戦い。お前が出てくるところじゃないんだよ。」 仁は優しく夢に語りかける。夢はいまだに放心 状態だった。 「竜也君。いつも娘が世話になったね。だが選ばれてしまった同士。決着をつけよう。」 仁がそう言いデュエルディスクを構えるのを見て、気が進まないながらも竜也はディスクを構える。 「待って…。お父さん…。どうして…?どうしてお父さんがそんなことしてるの…?」 夢は二人を止め、ゆっくりと言葉を紡ぐ。 「それが私の使命だからだ。選ばれてしまった人間の勤めなんだ。 わかってくれるな?私の可愛い賢い娘なんだから。」 父親の言葉に夢は泣きそうになる。言葉も声も 全てが優しい父親のままだったから。 夢は涙をぐいっと袖で拭き取り、ミニスカート から覗く太ももに着けてあったデッキ入れから デッキを取り出す。 そして自分のデュエルディスクに着けてある【子供幽霊】を取りだしデッキ入れに入れ、代わりにデッキ入れから取りだしたデッキを着けた。 「私は…お父さんを止めて見せる…。」 力強くディスクを構えた夢に、誰にもわからないように仁は微笑む。 「竜也。力を貸して。」 「当たり前だよ!俺は夢のためにも全力でおじ さんを止める!」 夢の言葉に力強く竜也も頷いいた。
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