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「するとあれかい?古い物に興味があるんで。」
「いいえ、実は。」
彼女はゆっくりと片手で袖を押さえながら、あらぬほうを手で示した。
「あちらの倉庫の物を取りに来ました。」
「あ?…ああ、悪いが、あっちは売り物じゃないんだ。」
「いいえ、頂いて行きます。奥に、古びた太刀が一つ、ありますね?」
「!どうしてそれを…」
彼女はさっきと変わらない微笑を浮かべている。
今は青ざめる店主を楽しんでいるようにも感じるが、それはつまり、さっきと変わらない微笑のことである。
「でっ、出ていってくれ!あれは売れるような物じゃないんだ!だいいち、何なんだ、あんた…。」
「何?どうかしたの?」
いつもの値引き合戦とは違うただならぬ店主の声を聞き付けてか、店主の妻と思われる老人が後ろの暖簾から顔を出した。
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