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「君には選択するチャンスがある」
その男は紳士ぶった口調で僕に話しかける。丁寧な話し方なのに、なぜか声を聞いていると胸がムカムカしてくる。
「今ある才能だけで世界を越える開拓者となるか」
そんな僕の気も知らず、偽紳士の男は続ける。
「今なき才能を求めて世界を旅する探求者となるか」
男が僕の顔をまじまじと見つめながら問いかける。
「君はどっちを取る?」
「……あなたは…誰ですか……?」
やっとのことで僕は男に言葉をぶつける。
「私のことなどどうでも良いことさ。そうだな、ノエルとでも読んでくれたまえ」
「…ノエル……?」
僕の好きな格闘ゲームに、そんな名前のキャラクターが出てきた気がする。でも、どんなキャラクターだったのかぼやけて思い出せない。好きだったはずなのに。どうしてだろう。
「そうさ、ジュブナイル計画を司る22人の一人。それが私、ノエル・レイトリートさ」
聞きたいことは色々あった。どうして僕はこんなところにいるのか。どうして僕はノエルと話しているのか。わからないことだらけだった。
「君は少し混乱しているようだ。だが、残念ながら説明している時間はないのだよ」
途端、パチンと破裂音が響く。男が指を鳴らしたと思ったときには、すでに男の手には黒いステッキが握られていた。
「選ぶんだ。君にはその資格がある」
わからない。一体なんだ。なんの冗談だ。僕は――
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