ある日の永遠亭

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 戦いの帰り道。先程から握られているお互いの手のぬくもりを感じながら竹林を歩く二羽の兎。月の兎と地上の兎。 「そういえばあなたって何か能力でもあるの?」 「能力?」 「あなたからは特別な波長を感じるもの」 「へー。でもまだ教えてあげないよ」  もしかして私ってまだ信用されてない? 今度私も兎耳付けてみようかな。昔使っていたのが確か押入れにあったはずだ。  やはりこの子について私はわからないことが多い。しかし今わからないことでもこれからわかればいい。時間ならたくさんある。 「師匠! ただいま戻りました」 「あら鈴仙遅かったわね。……って傷だらけじゃない!」 「あはは、ちょっといろいろあって……。あっ、それより兎拾ってきました」 「あたしはペットじゃないぞ」  なんとなくだが、大切な友達になれる自信が私にはある。  そうして私はてゐに対して笑いかける。  これから永遠の旅路を共にする、仲間に。 「これからよろしくね」
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