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「突然だけど今から外に行ってくれないかしら」
それはまさか私にここから出て行けということなのだろうか。それもそうか。前に一度、仲間を捨てて逃げた私を信用しないのは当たり前のことかもしれない。
「…………」
「何を考えてるのか知らないけど、薬の材料を探しに行ってほしいだけよ」
そんな私を見てだろうか。お師匠様はそういってくれた。最近、自分でもわかる程にマイナス思考になっている。しかし私はいつ必要とされなくなっても不思議ではないのは確かなのが、今はただ寂しい。
「わかりました。でもどんなものを採ってきたらいいでしょう?」
その私の言葉に合わせてお師匠様は二枚の紙を私に手渡してきた。一枚目の紙にはその薬草の特徴が書いてあった。そして二枚めの紙には『夜羽草』と漢字書かれていた。おそらくは名前だろう。
しかしこれは何と読むのだろう? 私の予想では夜羽草(やばそう)だ。
「気をつけてね。あと夜羽草(やばそう)だけど少しでいいから」
当たってた。
「わかりました。では行ってきます」
「行ってらっしゃい。あなたの為に作った薬が無駄にならないように戻ってくるのよ」
軽く遊び心が現れていたお師匠様のその言葉は、この後に起こる何かを暗示しているようであった。
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