ある日の永遠亭

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「はぁ……はぁ……」  やっと腰を下ろせる場所に辿り着くことができた。それにしても逃げる最中にも様々な罠が仕掛けられていた……。――竹槍、――爆弾。踏んだ途端に竹に付けられたロープで吊るされるというものもあった。どうやらこの竹林全てが敵のテリトリーとなっているようだ。こうなれば下手に動くことすら出来ない。先程は敵の攻撃を避けるために仕方なく竹林に逃げ込んだがこれではこちらも攻撃が当たらない。  果たして私は勝てるだろうか。たった一人の私に何が……一人? 「――そういえば」  敵も一人のはずなのにどうやって爆弾を投げ込んできたのだろう? 先程は敵の波長を感じ取って私は反対方向に逃げたはずなのに――。  私は眼を閉じ、神経を集中させる。やはり一人……いや、小さいが――いる。数個の小さな波長。これはこの竹林の動物たちか!? 「なるほど、敵はこいつらを使って攻撃をしかけてきたのか」  仙人みたいなやつだな。一対一どころか四面楚歌だったというわけか。一気に劣勢だな。  北に十三。西に七。南に六。東に二十。取り合えず小さな波長も合わせればこんなものか。それにしても東にやたらと敵の数が集中してるな。北の敵もやや東よりに配置されているし――そこに何かあるのだろうか。輝く竹でもあったら洒落にもならないな。あるとすれば宝、爆弾などの武器、それか――。 「…………」  これに賭けるしかないか……。私は深呼吸した後に立ち上がり銃を構えた。 「なんだろうこの感覚」  今から敵地に乗り込むというのに不思議と落ち着いていて、寧ろワクワクまでしている。体が軽い。もう何も怖くない。私はそのまま地面を蹴って敵が集まっている北東に向かった。  当たり前だが北東に近づくに連れて敵の攻撃も強力になっていった。叢(くさむら)から飛び出す竹槍や爆弾をジャンプして避けた。ジャンプ時などの避けられない状態での爆弾は銃弾で弾き飛ばして私は走り続けた。  ――この先にある勝機を求めて。
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