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所変わって、教室。
何で俺まで授業に出にゃいかんのだ。全くもって渚の言い分は理不尽である。
何が「学生である以上、私達は授業に出席する義務があるのよ!」だ。お前が一番授業受けたくないの分かってんだぞ。
渚「ねぇ、ここは…?」
「あー、そこは…って前教えた所じゃねえか。ベクトル計算もできねえようじゃ、センターの数学ダメだな。」
渚「えー、そんな事言わないで教えてよ~!!」
「うわっ、コラ渚!仮にも自習とは言え授業は授業なんだぞ!?」
ジタバタすんじゃねぇ、クラスの視線が痛いだろうが!!
「あ~、もう!仕方ねぇな。皆、ちょっと黒板使うけど問題ないか?」
と、一言聞くとどうぞどうぞと言わんばかりに全員頷いた。中には渚に混ざって習おうとしている者もいる。
この時ばかりは、自分がクラスで優位に立っていると思えて少し気持ちがいい。
「……で、さっきの答えとここの数式を持ってくる事でこのベクトルとこのベクトルが合同であることが証明されましたよっと。」
壁一面にビッシリと埋まる数式と図形。我ながら、綺麗に書けたんじゃないかと思う。
恐らく出るであろうセンター形式の大問。皆一様にノートやメモをとる。
数学なんて、公式さえ覚えりゃ当てはめるだけのパズルなんだ、そのコツを踏まえながら教えたんだし、こんだけ教えりゃ大丈夫か。
「教える事は教えた、これで点が取れなきゃそいつにセンスがないって事だ。」
要するに、後は頑張れってことで。
「んじゃ、俺は寝る。」
クラスの視線が全部俺に飛んでくるのは耐えられん、寝て躱すのが懸命だ。
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