それは、然るべき時に訪れる

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「退屈だ。」 いったい、何度この言葉をつぶやいたことだろう。 言ったところで何かが変わるわけでもないのに。 いつも暇つぶしに来る病院の屋上。 屋上に通じるドアを開けると、真横に小さな物置小屋がある。 その屋根の上によじ登り、大の字に寝転ぶ。 これが俺の日課だ。 天気のいい日は毎日ここに来る。 面会の人間を装えば、いくらでもここに立ち入ることができる。 無用心極まりない。 尤も、病院に用のない人間が、こんなところに立ち入るのもおかしな話なのだが。
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