それは、然るべき時に訪れる

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「退屈だ。」 大空を見上げながら、もう一度つぶやいてみた。 お世辞にも綺麗とは言えない空だ。 空気も悪い。 都会のど真ん中に建っている病院じゃ無理もないか。 昼休みになると、職員達がこぞって屋上に集まりだす。 手すりを背に、ランチを食すものもいれば、4人掛けのベンチで談笑するものもいる。 携帯電話を片手にタバコを吹かすものもいれば、手すりに寄りかかり遠くを見つめるものもいる。 皆、仕事のことを忘れようとここへ来たのだろう。ここでは、一切の出来事を忘れられる。 きつい仕事や、辛い現実。 せめて、この一瞬だけでも開放されようとやってくるのだ。
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