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「えっと『許可のない一般人の立ち入りを禁ず』って書いてあるよ」
わたしたちは今、先ほど、ライが読み上げた警告文が入り口横の塀に掲げられている施設の前にいる。
「ここって軍の施設だよね」
門扉のところには『水上・水中訓練所』と刻まれた看板があり、すぐ近くにはゲート管理の詰所まである。
「士官学校を卒業した際に訓練施設の無期限利用パスを貰ったんだよ」
そう言ってユウは懐から一枚の変わった札を取り出して詰所にむかった。
「うわ~、ホントにココ訓練所なの?」
あれから、すんなりと施設に入れ、わたしたちは用意された水着に着替えて更衣室を出た先にひろがる光景に驚いた。
手前には一般的な縦長のプールや水深が深めのプール等があるのだが、その奥には熱帯雨林を模様した区画が占めており、一見、訓練施設とは思えないほどだった。
「よっしゃ! 準備運動がてら初心者コースに行こうぜ!!」
異様にテンションが昂ぶっているユウはわたしの返事も聞かずに手を引いて走りだす。
仕方なくともに走りながら後ろを見るとついてきたはライ1人だけだで、他のみんなは一番近くのプールで賑やかに遊びだしていた。
ユウに連れられてやってきた水上アスレチック、そこは彼が初心者コースと言っていたが、その割にはギミックが多かった。
例えば、最初にあったのが点々とある足場を渡っていくものなのだが、途中に色違いの足場があってその上に乗ると横合いから一抱えほどあるボールが飛んできて、わたしはそれに見事にクリーンヒットしプールに落とされた。
次は雲梯で二回触るとバーが開くという仕掛けがあり、先程の足場渡りの教訓を活かして、ユウがやった通りに真似て渡っていたらこれまた見事に仕掛けにはまり伸ばした手は空を掴みそのままプールに落下した。
他にも、人を嘲笑うかのようなギミックばかりで何度もプールに落とされた。
「いや~、今日はいっぱい遊んだな~」
帰り道、あれだけハードな運動したのにもかかわらず、ユウはピンピンしており、対照的にわたしはどっと疲れていた。
なにしろあの後、初心者以外のコースも付き合わされたのだ。
次からはユウが言い出した事柄には乗らないようにしよう。
わたしはそう心に誓っただのだった──
~プールにGo!~🐧おしまい🐧
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