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花彩る季節を過ぎ、新緑の季節に入って暑くなりだしたとある日。
「ああ……、まだ初夏を過ぎたばかりなのに朝っぱらからダルい暑さだな……」
そう言って生まれてこの方の同居人──世間体では幼馴染み──のユウはぐで~と朝食を終えて片付けが終わったテーブルの上に上半身を横たえる。
「そうだよね、こういう日には水浴びなんかしたら涼しくなるだろうね」
わたしも彼に倣ってテーブルの上に上半身を横たえる。
ああ、木製のテーブルから感じる程よい冷たさが気持ちいい~。
ガタッ!!
「それだ!」
唐突にユウは椅子を鳴らして立ち上がり、わたしに意味ありげな視線をよこす。
「なにが、それなの?」
既に他のみんなは部屋に引き上げてしまったみたいなので仕方なく彼に応答する。
「水浴び──もとい、プールに遊びに行かないか?」
「何言ってるのよ、ユウ。まだ、レジャープールは営業してないよ。それとも公営の室内プールにでも行くの?」
まだ夏も始まって間もないのに、速攻で営業を始めるプール施設は皆無で、例外として公営のプール施設は水泳教室など等のことで年中無休でやっている。
「半分正解だが、半分はハズレ」
少し小馬鹿にしたような表情をし、勿体ぶった言い回しのユウ。
それから数瞬だけ間を置き次の言葉を口にする。
「実はな、公営の室内プールは水泳教室なんかに使われている施設以外にもいくつかあって、その中の1つにレジャープール並みの施設があるんだよ」
「へえ~、それは初耳」
基礎教育学校や今通っている学校の授業で使用しているのは先に挙げた場所なのだが、他にもあったんだ。
「しかも、今日行こうと思っているプールにはな水上アスレチックなんかもあるんだぜ」
「水上アスレチック?」
「そうさ。かなり楽しめるぞ」
公営の施設なのにそんなモノがあるだなんて、正直なところ驚きである。
「それじゃ、遊びは急げた! 暇そうな知り合いに声かけたら早速、出発だ!!」
そう言って、ユウは意気揚々と席を立っていった。
思えば、この時に少しでも疑問を抱き質問しておくべきだった──
何故?って、それは──
~次回に続く~
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