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建国祭から数日経ったある日。
わたしは先日新たに家族として迎え入れられた人鳥🐧のギンを連れて高級家具屋への道を歩いていた。
事の発端は今朝──
「おい、小娘。これからオレ様の部屋に置く家具を買いに行くぞ」
わたしが朝食を食べ終えた直後にギンがそんな事言い出した。
「えっと、ギンの部屋?」
とりあえず、一番最初の疑問を口にする。
「おうよ! 小僧と小娘の親父さんたちが余っていた部屋をオレ様にあてがってくれたのよ」
「ふーん。ねぇ、お父さん、小父さんちょっと話が──」
一先ず、コソコソと移動する父と世間体でいえば幼馴染みのユウの父親である小父さんを呼び止める。
「いや~、リィムちゃん。彼にだってプライベートな空間は必要だろ?」
「そうだぞ、リィム。それにだな──」
「もう! お父さんも小父さんもヒドい! わたしがペンギン大好きなの知っているのにギンを引き剥がそうとするだなんて……」
うるうる瞳で非難するわたしから気まずそうに視線を逸らす父親s。
──勝った。そう確信していたが意外なところから水を注された。
それはギンだった。
「おいおい、話題の中心であるこのオレ様を抜きにして話を進めないでもらえるか?」
「もしかして、ギンはわたしと一緒の部屋じゃイヤなの?」
人鳥に対して効果があるかどうかわからないがうるうる瞳で攻勢をかける。
「あ~、イヤではないな。居心地いいからな」
「だったら──」
一筋の光明が見えた気がした。
「だが、オレ様としてもやはり個人的空間は欲しいところだ」
やっぱり、見えた気がしただけだった……グスッ。
さすがに当人が決めたことに意見するのは気が引けるし、ギンが選んだ事なんだから『管理者』としての職務上のパートナーなんだからサポートするのがわたしの役目。
「わかった。すぐにお出掛けの準備してくるね」
そして冒頭にいたる。
~次回に続く~
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