Chapter1,決行当日

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from;奈倉 title;お早うございます 本文; 今日は夏祭りですね せっかくだから楽しみましょうね from;供花 title;おはようございますです~ 本文; はいっ楽しみです!! 奈倉さんのご要望通り浴衣着ていきますよ~ from;奈倉 title;楽しみです 本文; 期待してまってますね ではまた後で from;供花 title;了解ですー 本文; はい、また後でですー ************************ 「へぇ、初対面の相手なのに約束の30分前に来るとはね」 律儀なんだねぇ、と呟く臨也 「さぁて、何処まで持つかな。その仮面は」 白地の布に小さな花の様な模様があしらわれた、一見すると古風にも見える浴衣に蝶が舞っている紅い帯 艶やかな黒髪はややアップに纏められ、椿の髪飾りが添えられている そして小さな巾着袋を持った姿は、何処にでも居る只の少女の様だった ――とても自殺志願者には見えないね それが臨也の第一印象だった 「こんにちは」 「っ?」 振り向いたその顔を彩るのは驚愕 あれほど警戒していたのに何故気づけなかったのか解らない、とその顔は語っている ――それでも仮面は外れない、か 頭の隅でそんなことを思いながら、完全に体を此方に向けた彼女を観察する 「えぇ、と」 奈倉さん、ですか? 僅かに小首を傾げながら、恐らくは彼女も自分を観察しているのだろうと思う 「はい、奈倉さんです」 ――けれどそんなことどうでもいい 自然と口角が上がる ――当たりも当たり、大当りだ 何故ならば、彼女の瞳にはしっかりと光が湛えられているにも関わらず―― 退廃的な、それでいて誘われるように酷く甘美な 死の匂いを纏っているのだから―― (君となら俺は死んであげるよ)
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