Chapter2,俯瞰、花火を供に逝く

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「供花さん高いところ好きなんですか?」 「大好きですー」 俯瞰からの落下死 それが彼女が望んだ死に方だった 「高いところに行くと、にんげんがすっごく小さく見えるから」 「そうですね」 「それに、私のおとーさんとおかーさんも高いところから落ちて死んじゃったから……おんなじ死にかたをしたら、ちゃんと家族になれるかなーって」 「家族になれる?」 妙な言い方に思わず素で返した 「確かに血は繋がってるけど、ただそれだけで、家族とかじゃなかったんです」 僅かにかいま見えた彼女の家庭事情 「……あ、ここです」 「いかにも!って感じですねー」 古ぼけた廃ビル 予め鍵は壊しておいた扉がすんなりと開いて、四角い真っ黒な闇が俺達を迎えた 「足元大丈夫ですか?」 「奈倉さんがエスコートしてくれてるから大丈夫ですよー?」 怖くないのだろうか あっけらかんと話す彼女からは何の感情も感じられない 「ここから花火って見えるんですか?」 「はい。見えますよ」 「花火、二人締めですね」 「……」 一瞬、彼女の表情が曇った 「さ、着きましたよ」 「はいっ」 重い扉を開くために、繋いでいた手を放す それを俺は後悔する羽目になるとは知らずに
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