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やよい先生が来てから3週間。
先生の教育実習が終わった。
本を読んでいるとき以外で、
うれしい。とか、
楽しい。とか。
僕は今まで感じた事がなかったのかもしれない。
高校3年生の自分。
今までの自分って何だったんだろう。
やよい先生と過ごしたこの3週間は、
僕にそんな人間的な感情をくれた3週間だった。
と言っても、僕は先生と関わった事なんてコレといってないのだけれど。
「やよい先生、みんなで写真いいですか?」
クラスの女子がそう言い記念撮影会が始まる。
僕はその様子を見ているだけだ。
そういう事に参加する度胸なんてまだなかった。
「ここからだと外が写るね」
そう言いながらやよい先生が僕の席に来て、
僕の肩を組んだ。
すぐに他のクラスメイト達も先生の周りに集まる。
驚く間もなく先生と一緒に写真に納まる。
ドキ。ドキ。
なんだ。僕の心臓は元気じゃないか。
先生が僕に微笑む。
僕は最後になって、初めて先生に微笑み返した。
後で先生に渡す色紙が回って来た。
書きたい事はいろいろあったけど、
そんないろいろ書けない。
色紙にはクラスの皆が書いて、皆が見るのだろうから。
僕は一番目立たない所に、
『ありがとう』
とだけ書いた。
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