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「父さん。お願いがあるんだけど」
「なんだ ? 聡。改まって」
「僕、本当は体育の授業受けられるんだよね」
「そっ…そうだ。ちゃんと忘れずに薬を飲んでいれば発作だって起きなかったんだぞ」
「体育の授業に出れるように診断書、書いてくれない?」
「…」
「ごめん。わがままだよね」
「いや。そういうわがままだったらいいんだ」
父さんはずっと驚いた顔をしていた。
でも喜んでいてくれているようにも思える。
今更、体育の授業に出るなんて学校側も嫌がるし、
クラスの皆だって嫌がるだろう。
ただうっとうしい事になるだけだ。
でもなんだか、このまま誤魔化していちゃ、
この元気な心臓に悪い気がした。
ドキ。ドキ。
この鼓動はイイ感じだ。
やよい先生がくれた鼓動。
大切にしたいと思った。
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