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「へえ。美人の隣で微妙~な顔をしているのがお兄ちゃんか」
男の子が変な感想を言う。
「微妙? ああ! 確かに微妙な顔だね。そうか。こういうのは微妙って言うのか」
僕の反応に男の子は不思議そうな顔をする。
「今の君の顔は微妙なのかな?」
きっと、そういう事なのかと思って言ってみた。
男の子は、おおっ。と驚いた顔をする。
「すっげー。学習が早いねお兄ちゃん! んっ今のオレの顔は微妙だよ!」
男の子は変に感心する。
「その、きょーいくじっしゅう。とかってのが終わって写真撮ってこの美人とはバイバイ? なの?」
僕はフフフと笑う。
思い出し(思い返し?)笑いというやつだ。
「おっ悪代官みたいになったぞ」
「悪代官?」
僕はまた微妙な顔をしてしまった。
「んもお約束だよ。悪代官と言ったら越後屋」
「へえ」
今度は僕が変に感心した。
この男の子は、僕が知らない世界を知っている子なのだろう。
「って変な所で感心しないでいいから。で、何。なにぃ?」
「ああ」
僕は次の写真を男の子に見せる。
「おおっ、美人が進化してるぞ」
僕がやよいさんと大学で再会した後の写真だ。
やよいさんは教育実習で来ていた頃とはかなり雰囲気が変わっていた。
こう言うと嫌がられたけれど、
女性らしくなっていた。
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