再会のキャンパス

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僕は志望通り横川教授のいる大学に進学した。 1年浪人したけれど。 意外にというと失礼だが、思った以上に偏差値が高く、 現役合格は出来なかった。 予備校通いと父に無理を言って志望大学の現役学生を家庭教師につけてもらい、 なんとか1浪で合格が出来た。 家庭教師をしてくれた先生が大学の先輩になり、 人と関わりをもつのが苦手な僕にはありがたい存在になった。 1年生の僕はまだ教授のゼミを専攻出来なかったが、 先輩に教わった横川教授の研究会になるべく参加していた。 週に1度ある研究会は人気があり、席が埋まってしまうと参加出来なくなる。 参加は容赦なく先着順だった。 調査で遅れた研究生すらも参加出来なかったりする。 先輩は、 「横川教授だからねえ」 と言っていた。 横川教授はかなり変わった人物らしい。 僕は教授を変わった人だとか思った事はないが、 面白い人だなあ。と思っていた。 調査のために民家に泊り込むのは日常茶飯事で、 時には神事の修行にまで参加しているようだ。 (ムリヤリ参加しているとの噂だが…) 研究会も本人が大学にいる事は少なく、 Web参加の方が多い。 それでも人気があるのだから、 変だと言われていても、 それだけ魅力のある先生なのだろう。 そして教授を初めて見たときに、何だか懐かしい感じがした。 ずっと教授の書いた本を読んで慕っていたからだろうか。
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