再会のキャンパス

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「私、2年前にあなたの高校の教育実習で…」 「はい。覚えています」 やよい先生は自分は誰であるか説明してくれようとしたが、 そんなの言われなくてももうわかっている。 僕が憧れたやよい先生。 覚えていない訳がない。 うれしい。ものすごくうれしい。 だけど、どうしたら良いのか分からなくなり、 僕はつっけんどんな態度になっていた。 先生はそんな僕の態度を特に気にする風でもないのが救いだったけれど。 「何で『打ち止め』なんだか。趣味わるっ」 ねえ。 と同意を求められた。 「僕には意味が分かりません」 どうしようこんな淡白な受け答えしか出来なくて。 でも何故かやよい先生は笑っていた。 「相変わらず反応が面白いわ」 おもしろい? 僕が? そういえば先生は教育実習の時も僕を面白がっていたような… 「やっぱりこの大学に進学したんだ。今2年生だよね」 「いえ。1浪したので1年生です」 「ああ。この大学意外に偏差値高いんだよねえ」 何だ?このスムーズでどうでも良い会話は。 続けていたいような。もう逃げたいような。 「あれ?袴田。もう『打ち止め』か?」 「あっ、はい」 先輩が通りかかった。 ちょっと助けられた気持ちになった。 「なんだ皆川か。いたの」 皆川とは先輩の事だ。 やよい先生は先輩と親しいのだろうか? 何だろう。この感じは。 モヤモヤ?イライラ? 今まで感じた事のない感情になった。
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