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「あの…袴田聡くんの事ですけど」
職員室。
やよいはクラスで浮いているように感じる聡の事が気になっていた。
体育の授業を見学しているが、何も聞かされていない。
「ああ袴田くんね。去年授業中に発作で倒れてね」
「はあ」
「心疾患があるから、それから体育の授業は見学しているんだよ」
「はあ」
「診断書を提出してもらっているから問題ないよ。心配しなくても大丈夫」
「はあ」
大丈夫とかそういう問題ではない。
生徒の情報はあらかじめ始めに知らせてくれるべきだ。
憤りながらもやよいは査定を気にして黙っていた。
でもそういう事なら聡が浮いている事に少し合点が行く。
しかも聡は周りから浮いている事を楽しんでいるようにもやよいは感じていた。
(お父さんの本を読んでいる子はやっぱり変わっているよね)
そんな事を思って少しおかしくなった。
彼の事はただ見守ろう。そう思った。
やよいは聡に笑いかけ、
少しはにかむその姿がうれしかった。
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