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口の中からオムライスがなくなる頃には私は疲弊しきっていて、口を動かすのも難しい状態だった。次の一口を出されても開く事が出来ない。
その人は困ったように首を傾げると自分でオムライスを食べた。諦めたのかと思ったけど、その期待はすぐに否定された。
しばらく口を動かしてから私のあごを掴んで、その人がかがむ。何かと思う前に唇を重ねられて、少しだけ開いていた私の口を長い舌で押し開いてくる。
流動食のようになったオムライスが私の舌の上に乗せられる。混ざって生臭い血の味だけが目立っているのに、その人の舌は酷く甘く感じられた。でもお菓子の甘さとは何だか違う。どういう甘いか、似ているものを見つけられない。
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