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【石倉真紀の視点】
(まさか…百過刀)
この世に一本しか存在しない刀。
使用者の時を狂わせる妖刀。
刃から血を絶ったが最後、たちまち百年の時が流れるという。
百年ごとに現れては、その時代の鬼と人を斬りまくり、やがて消える男。
時狂人
目の前にいる男が時狂人なら、全ての説明がつく。
百過刀ならば、冥府への道筋を切り裂き、冥府の武器を無効化することも可能だ。
「カズマ!薙刀を放して!腐泥門を消して!」
「なにぃ!?」
「いいから!」
冥府の武器を放し、腐泥門を消してから再び武器を握り、新たな腐泥門を出現させる。新たな門が開くまで最低でも6、7秒は掛かる
数瞬が生死を分ける戦闘では絶望的な間だ。
ただし、今はその余裕があった。
現れた両角鬼が、両刃の大剣で時狂人と私達を隔てている。
「悪いな、時狂人。こいつらは俺の獲物だ。他の姫はお前にやってもいいが、こいつらだけは俺のものだ」
「勝手にしろ」
時狂鬼は辟易した様子で言い、他の姫に向き直る。
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