第47話 反撃

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鬼は喜色満面で剣を繰り出して防ぐ。交わった刃の間に、下から跳ね上がった黒い立方体が割って入る。 鬼の履いていた下駄だ。 もう一つの立方体はカズマの右側に跳ね上がる。 二つの立方体は角がより鋭角に、面は凹み、辺が伸びる。 そして、全方向へ回転。 鋭角の棘がカズマに襲いかかる カズマは薙刀の柄を右下へ、刃を正面右上へ突き出し、一撃目の棘を同時に防ぐ。薙刀は衝撃によって回転。軸となった柄の中心は、カズマの五指の間を人差し指から小指へ下るように移動し、最後に五指の全てで握られ停止、二撃目の棘を先端と末端で弾く。 その瞬間、私は裾から足を退け、カズマは腐泥門を滑るように後退する。 玩具に体力を消費するつもりはない。敵は両角鬼だ。 「真面目にやんなさいよ…そんな玩具で」 私が睨むと、両角鬼は大剣を横に振り、依然回り続けている黒い下駄を壁へ弾き飛ばした。 運悪く、その壁際にいた姫の一人が串刺しとなる。 「一応、あれは俺の角だぜ。玩具とは言い過ぎだろ。まあ、確かにそんなものだが」
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