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【三人称じゃなきゃ無理】
哲平に続き珠子が食堂へ入り、次いで望月が泥を蹴って突入する。
夏奈子が入った時には、すでに哲平は両角鬼に肉迫していた。冥府刀を鞘に収めていたことにより、泥の抵抗を受けずに駆けることが出来たのだ。
哲平は居合い抜きの要領で、抜きざまに斬り上げる。珠子は倒れるように片膝を床に滑らせ、爪先をドテラの裾に乗せる。
両角鬼は哲平の刃を大剣で受け止め、その隙にカズマが薙刀を唸らせる。
両角鬼はその巨体に似合わぬ俊敏な動きで床を転がり後退。
追撃を掛けようとしたカズマと哲平に向け、望月が「屈め!」と叫ぶ。
いち早く理解した真紀がカズマを後ろから引き倒し、とっさに体を屈めた哲平の肩を踏み台とし、望月は哲平の頭部を越えて跳躍する
望月が狙うは、カズマの襟を掴み損ねた、天井から逆さに下がる襟引鬼の胴。
浴衣の裾は望月を追うように哲平の肩から頭へと滑る。
夏奈子は上げた踵を哲平の脳天へ落とし、そこを地の代用として裾の端を捉える。
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