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望月は天井付近で冥府刀を真横に一閃、襟引鬼は背を反らしてかわし、そのまま背から天井へ溶け込む。
呪縛に引き寄せられ、腐泥門の上に着地した望月に、両角鬼の大剣が唸りを上げて水平に迫る。
哲平が白目を剥いて崩れたことにより、夏奈子の踵と裾が離れ、自由を得た望月は飛び退こうとする
だが、鬼の剣速は望月の足より速い。
それとみた望月は瞬時に刀を逆手にする。
夏奈子の足先は弧を描き、いまだ空中に漂う裾を捉え、そのまま崩れ落ちようとしている哲平の頬に踵を埋める。
哲平の顔面を地に見立てた裾踏留めの呪術。
望月が使えるのは片手のみ。
切っ先を床に突き立て、そこに大剣を受ける。衝撃を床と腕に分散させるが、大剣は望月の手から冥府刀を弾き飛ばした。
宙に浮いた冥府刀をグローブで叩き落とし、大きく踏み込んだのは腹から血を流した慶岳。
ハンマーの唸りはポンチョを踏み込んだ樹里の足音を掻き消し、大剣と衝突して轟音へと変わる。
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