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【真紀の視点】
同じ種類の人間に対して投げかけるような親しみのある夏奈子の視線。
(違うから……)
内心では否定しつつ、私は甘んじて受ける。
彼らが来てくれなければ、今、私はこうして笑うことも出来なかったはずだ。
いや、彼らが存在しなければ、T市の刺客がここで共に戦うこともなかっただろう。
石倉一派では成し得ぬことを成すのが望月とその裾踏姫だ。
(その力……借りるわよ)
勝利はいかに個々が動くかに懸かっている。
打ち合わせなどする間はない。
舌先は使えない。
私が操れるのは裾の端を踏む爪先だけ、この爪先だけで私の意思を皆に伝え、この戦い全てを操ってみせなければならない。
周りの姫に理解もされず、孤立無援、単身で戦った夕霧の頃とは時代が違う。ここにはこんなにも戦士がいる。
夕霧が倒せなかった敵を倒すのに夕霧を超える必要はない。
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