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珠子が目を向けたのは事後であったが、真紀が意図的に動きを滞らせたことが分かった。
なぜなら、真紀と自分とでは全てが違うからだ。
自分なら犯すミスも、真紀なら犯さない。
真紀は鬼殺し集団を率い、数々の鬼を殺し、舞踏をマスターしている。
T市では、黒衣の裾踏姫に唯一匹敵すると目されている姫だ。
その真紀が単純なミスを犯すはずがない。
武器が砕かれたとしたら、意図的なものか、冥府の武器所有者がミスをしたかだ。
そして、カズマのミスかと言えば、そうは言い切れない。
カズマはカズマで、T市最強の死神に匹敵する戦士とされている。例え片腕に重度の火傷を負っていようとも、手負いの鬼にみすみす武器を砕かれることはない。
ならば、答えは一つ。
真紀は意図的にカズマを窮地に立たせたのだ。
真紀の狙いは何なのか、珠子がそれを考える前に、目の前で具現化した。
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