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【望月拓郎の視点】
俺は目覚めると、起き上がり、立つことなくベッドの端に腰掛ける
しばし顔を手で覆い、気だるさが消えるのを待つ。
今日はなかなか気怠さが抜けない
この分だと、午前中いっぱいは抜けないだろう。
だからといって午前中ずっと寝室でこうしているわけにはいかない
(寝室か……)
案内された部屋はリビングと寝室が分かれている贅沢な部屋であった。
優遇といってよい。
彩花姫の押しの交渉が効いたのだろう。
美奈や怜、小池も同じ待遇を受けているはずだ。
(さて……)
俺はベッドから立ち上がる。
たぶん、この高価そうなベッドがいけなかったのだ。寝馴れない物で寝たから気怠いのだ。
俺は背筋を伸ばす気力もなく、リビングへと続く半開きの戸を開ける。
そのとたん
パスン
頭に何か柔らかいものが乗る。
典型的なイタズラ、黒板消しを教室の戸に挟み、教師の頭へ落とすように、この戸にも挟んであったのだ。
ただし、顔をほのかに包んだのはチョークの粉などではなく、えもいわれぬシャンプーの香りであった。
俺は頭の上の物を両手で取る。
淡いピンク色の枕。
そこに写真がテープで貼り付けてある。
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