序章は鬼ごっこ

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旧オルレアンの首都 ダグラスの路地裏を走る人影が見えた。 全部で4つ。 その中の先頭を走る ユツルは、今 鬼ごっこの真っ最中だった。 昔、彼が抱いた疑問の1つに『鬼ごっこは、何故 鬼 ごっこなのか?』 「待てェェェ!!」 鬼の形相で追いかけてくる兵士たちをみて、まさしく 真の鬼ごっこ意味知った気がした。 次の角を右に曲がりながら、背後に迫る追ってと距離を置く。 ユツルはツギハギだらけの服をなびかせ、走る。 「おーっとと!」次の角を左に曲がる。 ユツルは この街で早くも 七年、時を過ごした。 ここはオレの庭、 そう考えていた… …筈だった。 「あれーー!?」 頭の中に疑問符が飛び交う。 気付けば、目の前には壁が立ちふさがっている。 「さっきの角 右だっけ? 左だっけ?」 ここだけの話、裏路地を通るのは、 これで……。 正直、それすら覚えていない。 そう考えているうちに 鎧を揺らす足音は、背後に迫っていた。
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