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緑の闇とコーヒー
一日の始まりには少し早い時間。葉脈の香りのする暗闇がキッチンに覆いかぶさっている。
加減を知らないから私の作るインスタントコーヒーはいつだって苦い。
何も入れないまま不器用に飲み下せば、若い食道を焦燥が焼きながら降りていく。苦みは胃に穴を開けて、胸灼けは治まることを知らないまま。
ひらりと笑ってもっとスマートに生きてみたいけれど私には無理みたいだ。たくさんの人々の間にいて自分の嫌なところをたくさん知って、その苦さに顔をしかめてばかりいる。
いつか透明な朝がやって来たらそっとキッチンを抜け出して葉脈の香りをたどってその根元で羽化をする、それまではコーヒーは苦いまま。黎明のひかりはまだ先。
110508
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