三日目

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「…っ!」 廊下の途中でジュシーが急に歩みをとめるものだから、アーデレはバランスを崩して少しよろめいた。繋いだ手を見ると、ジュシーの手がアーデレのそれを強く握りしめ、また小刻みに震えているのがわかる。ジュシーの顔は強ばって、視線はその先の何かに脅えきっていた。 アーデレがジュシーの視線の先を追うと、そこには昨日の男の子がにやり笑いながら立っていた。男の子はアーデレが自分の存在に気づいたと知ると、ますますにやりと邪笑してみせる。伴ってジュシーの手がより強くアーデレを掴み、彼女の恐怖のすべてを物語る。 「やあ、アーデレ。久しぶり。」男が言った。「それにジュシーも…足の具合はどう?」 「あなた誰よ。」 アーデレは震えるジュシーを抱きかかえると、男の方を見て言い放った。彼女の声は静かで、低く、溢れ出んばかりの怒りを纏っていた。鋭いつり目をより鋭く尖らせて男を睨みつける。「何しに来たの。」 「そんなに睨まないでくれよ。 ― 僕の名前はスターロット。隣りの病棟の二階にいるんだ。ジュシーとは君が来る前に少しあってね、たまたま近くを通りかかったから挨拶に来ただけ。」 スターロットの声にはアーデレへの恐怖はなく、むしろこの状況を楽しんでいるかのような喜々とした色があった。
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