二日目

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「ジュシー、起きて。朝食よ。」 日々きっかり時間通りの生活をおくるアーデレとは打って変わって、ジュシーの生活リズムは自由奔放だった。長い入院生活は彼女に、普通の人が学校や部活へ向かうことで覚える起床リズムというものを見事に与え損ねたようだ。ジュシーは朝食のアナウンスの中でもピクリとも反応せず、すやすやと小さな寝息をたてている。 何度起こしても起きないので、アーデレは少しふてくされながら独りで朝食を取りに行くことにした。昨晩ジュシーとは、一緒に朝食をとる約束までしたっていうのに、と思いつつも、病室前に並ぶ二人のネームプレートを見てしばらく立ち止まり、結局二枚を手に持って大食堂へと駆けた。 病院は、名をウィンスタット記念病院と言い、五つの病棟からなる総合病院である。都会から離れた場所にしては大規模な病院であったから、多少距離があっても町の医院よりはこちらへと足を運ぶ人も少なくない。入院患者も決して少数ではなく、故に大食堂はまるでショッピングモールのビュッフェのように混み合っていた。 配膳場所は八カ所で、アーデレはそのうち一番空いている三番へと人波をもがいて進む。 「やあ、君が新しく入ってきた…」 アーデレが何とか順番待ちの列に着くと、横から男の子が話しかけてきた。金の短髪に、少し焼けた肌。手の上のトレイは朝食が乗っており、既に配膳を受け取った後のようだ。 「ジュシーと相部屋なんだって?残念だったね。」 「?ちょっとそれどういう…」 「次でお待ちの方!早くこちらへ!」 男の子はくすくすと笑うと、さっと人波に消えていった。アーデレは何ともすっきりしないものの、手に持っていた自分とジュシーのネームプレートを配膳係に差し出す。 「おや。」ネームプレートを受け取ると、配膳係は名前を見て声を漏らした。「ジュシーんとこに相部屋かい?」 「はい。そうですけど…」 「あれま、大変だねぇ。ジュシーは足が悪いから、いろいろ手伝わにゃいけないだろ? ― ほら、少しオマケしといたから、しっかり食べて元気つけるんだよ!」
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