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「待たれよ。まだ両人ともキヨメの儀式が終わっておらぬ。」
老巫女が言う。"キヨメの儀式"とはいわば洗礼のようなものである。日飛の大滝の水を浴びて初めて、稲置の子は妖術師の卵に、道師の子は剣舞使い見習いになれるのだ。今、まさに、那由多とヤジロはその途中であった。
「申し訳ありません巫女様!では、那由多様とヤジロ様がいらっしゃるまで祭を続けます。」
村人の1人が言うと、人々が再び踊り始める。鈴の音が鳴り、和太鼓が辺りに響き渡る。
それは、一瞬の出来事だった。突然何かが破裂する音がし、続けて男のうめき声がした。
今まで活気ついていた村が嘘のように静まりかえる。
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