素直

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春休みはなにかと忙しかった。はなちゃんに始まり、ももちゃん、おんぷちゃん、あいちゃんがこの町を去った。はづきちゃんも入学者説明会、制服の寸法と忙しそうで、結局ほとんど遊べずに春休みは終わった。 「どれみー早くしないと遅刻するわよー。」 わかってる…けど髪型が決まらない。昨日の夜から考えてるのに結局昨日決まらずに家を出なければいけない時間の5分前。 いつものお団子…は子供っぽいし。ポニーテール…は量が多くてうまくまとめられない。 あぁもうっ。こうなりゃやけだー。 私は結いかけた髪をバサッとほどいた。さっととかすと思いの外きれいにまとまっていて 「よし。じゃあ行ってきます。」 小学生のときと何らかわりない足取りで、私は家を後にした  この道を毎日通うのかぁ…。 そういえば小竹もこの道通るんだよね。今日もばったり会ったりして…。 不思議だけどそういうことを考えると本当にひょっこり小竹が現れたりする。ほら、やっぱり…。 「あ、小竹おはよう。」 想像以上に制服姿の小竹はカッコよくて、ドキッとしてしまう。 小学生の間はそんなこと死んでも口に出さなかったけど、私も今日から中学生だし少しくらい素直になってみよう。 すうっと息を吸い込み、気持ちを落ち着かせる。 言え、言うんだどれみ!! 必死の思いで今の素直な気持ちを言葉にしようとする。 「制服…」 「え、あぁ…どおせ似合ってないって言うんだろ?」 「ちっちがう。すごく…似合ってる///。」 ――――素直――――― (言えた。素直な気持ち。)
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