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上目遣いに見つめてくるシャル。
男装していたとはいえ、一緒の部屋で過ごした事があるのに、いざこのように見つめられるとシャルが女の子であると意識せざるをえない。
(……可愛ぃ――)
「一夏?」
「な、なんだ!?」
「どうしたの?ぼーっとして…疲れてる?」
「な、何でもない!大丈夫だ、大丈夫!」
「ならいいけど……」
「あ、あはは……」
見とれてたなんて恥ずかしくて言えない。
「で?」
「え?」
「箒には何もしてないんだよね?」
「何もって?」
「え!?えーっと………な、なにか約束した…とか…」
「いやとくに何も。
今日は珍しく髪下ろしてるから、どうしたのか気になって声かけただけだぜ?」
「そ、そうなんだ……」
ほっと胸をなで下ろしているシャル。
……箒が髪を下ろしてるのと何か関係しているのか?
もしかして!俺にその理由を隠す必要があるってことか!?
じゃあシャルは箒が髪を下ろしている事情を知ってて………。
「シャル!」
「ひゃ!ひゃい!」
俺が肩に手を置くと、シャルは上擦った声で返事をした。
相手に話しをするにも聞くにも、まずは目を見る事が必要だ。
ゆえに俺はシャルの綺麗な瞳を見つめるのだが、シャルの顔が少し赤い。何でだ?確かに顔を近づけたら俺だってなるだろうが……肩に手を置いてるだけだぞ?
「ぅ……い、一夏?」
ちょっと小刻みにぷるぷる震えるシャルだが、俺は問答無用で言った。
「俺に隠しごとなんてするなよ!?」
「え゛?」
「言いたいことはハッキリ言ってくれ!じゃないと俺わかんないからさ」
シャルが箒のためを思って俺からなにかを隠しているつもりだろうが、今わかっちまったからな。何隠しているかはわからないけど。
「あぁ……………うん…十分によくわかってるよ……」
「そうなのか?」
ん?またなんかシャルの声色が……。
「まぁとにかくそういうことだからさ」
「うん、わかったよ。じゃあ僕戻るから」
「ん?何だよ?一緒に行かないのか?」
「今はついてこないで」
「お、おう……」
「~~~~~~」
頬を膨らませてシャルは行ってしまった。
わからん。俺何かしたか?
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