25人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、そこの男子生徒。さっさと教室に向かえ。直に鐘が鳴るぞ」
「ん?
ああ、わかったよ。千冬姉―――」
後ろからの声に俺は振り返ると、
バシンッ!
「ッつ~~~~!」
「学校内では織斑先生だと何度言ったらお前は理解するんだ?このバカ者」
キツい一撃をお見舞いされた。
「わかったのなら返事をしろ。ん?」
「は、はい!織斑先生」
「よし、いい加減覚えろ」
「はい」
「で、さっきのデュノアとの一部始終だが…」
「うわっ!見てたのかよ!?」
「生徒も教員も通る廊下で堂々とイチャつかれるのは誰の目にも入るし、毒意外の何物でもない。お前の性別とここがIS学園である事を理解しろ。まぁすぐには出来ないだろがな」
「は、はぁ……――?」
要するに俺は注目されてるって事だよな?
ISを動かせる男子として。
「女の事も良いが、学業の方もしっかりしろ。
お前が強くなれば守れるものも多くなる」
「ああ、その時は千冬姉も守るよ」
「……フン」
ベシンッ!
「っだぁ~~~~!」
「…そんなデカい口叩くのは、せめて生徒会長を倒せるくらいになってから言え」
千冬姉が一瞬フッと照れくさそうな顔を見せ、またいつもの表情に戻る。
「あのガキども同様。お前もしっかり自分を磨けよ」
「ああ!なんてったって俺は千冬姉の弟だからな!」
◆
(うううっ~!一夏ぁ~~!)
シャルロットは一人教室に向かっていた。
その顔にはなんとも怒りが見える。
さっきは冷たく一夏を突き放したものの、その怒りは一時だけのものであり、やっぱり一緒に行こうと歩みを戻したシャルロットだったが、
(やっぱり一夏って……)
見てしまった二人。
そこには教師と生徒の枠には無い姉弟の姿があった。
ましてやシャルロットにはそれ以上にも見えかけた。
「……………」
もし本当にそうだとしたらかつてない最大級の強敵になる。勝ち目は到底無いだろう。
(なんか…落ち込んじゃうなぁ…)
怒りも冷めて一人とぼとぼと廊下を歩く。
「どうした?シャルロット」
そんなシャルロットの後ろから箒が声をかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!