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「ん?どこって言うか、シャルが顔真っ赤だよって言った辺りからしか聞こえなかったけど?」
「そ、そうか…」
「それより箒。お前本当に顔赤いぞ?大丈夫か?」
一夏が箒の額に手を当てる。
それだけで箒の顔は更に熱を増す。
「あー…僕、先に教室に戻って先生に言っておくから。
一夏、箒が保健室に行くのを付き添ってあげてよ」
「おう、わかった」
「お、おい!シャルロット…!」
「ね?箒」
シャルロットが箒にウィンクして見せる。
箒は「ぅ……」と黙ってしまった。
箒だって当然知っている。
シャルロットが一夏をどう思っているかなんて……。
本来ならシャルロットが箒を保健室連れて行くことだって出来る。
それこそ、一夏と箒を近づけさせないために。
小さい頃からの仲だけあって、距離とか言う問題ではない。
それぞれがこのキング オブ 唐変木にどう気づいてもらうかが、鍵を握る。
誰が先に一歩を踏み出すかなのだ。
シャルロットは今、箒にそのチャンスを渡した。
(あーあ…僕、何をやっているんだろうね……)
今、一夏の顔を見たら自分はどんな顔をしてしまうのかわからない。
さっき千冬と一緒にいたあの笑顔を、自分に見せてくれることはあっただろうか?
これからあるだろうか?
この後、箒が一夏に告白して一夏がOKしたらどうなるのだろうか?
(…………………)
そんな気持ちが怒りを通り越して、不安と言う形で心が押しつぶされそうになる。
「シャル?」
「じゃあ、後よろしく……」
シャルロットは一夏から逃げるようにこの場を去った。
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