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「え?おい、シャル…――――」
「一夏!」
「な、なんだよ?」
「私はこの通り具合など悪くない!
だから先に行くぞ」
箒は一夏に自分が元気であると身振り手振りで主張すると、
「先に行くって箒……―」
「シャルロット!」
一夏から離れ、箒はシャルロットの背を追いかけた。
「待てって箒!俺も一緒に……――」
「一夏は来るな!」
「え?……ええ゛!?」
衝撃の言葉にカチンと一夏は固まった。
「お前は少し時間をずらしてから来い!」
「は?なんでだよ?」
「何でもだ!」
「……理由はよくわかんねぇけど……まぁわかったことにする」
「うむ、それでいい」
そう言って箒はシャルロットを追いかけようとする。
「あ、箒。ちょっと聞きたかったんだけどさ」
「なんだ?」
「今日珍しく髪下ろしてるよな?」
「う、うむ、それがどうかしたか?」
「いや…良いなと思って……」
「そ、それは本当か!?」
先ほどまでシャルロットを追いかけようとしていた箒だが、一夏の言葉に我を忘れて距離を縮めた。
「……ならば、たまには髪を下ろすのも良いかもしれないな……」
「おう、気分転換は大事だよな」
「………………」
「箒?」
「フンッ!」
「ぐふぅ!」
突然、一夏の腹に手刀が飛んできた。
どうやら言葉の選択肢を間違えたようだが、このキング オブ 唐変木にはそれがわからない。
「気分転換などでは無い」
「え?じゃあなんでだよ?」
「そ、それは………」
いつもと違う自分を見てほしい。
たとえ本日たまたま髪を結う暇が無かったとしても、褒めてもらえたことは純粋に嬉しかった。
しかし、それをいきなり気分転換と決めつけられては箒にとってはよろしくなかった。
そう言う素直な気持ちをなかなか言えないのが箒であり、それが全く気づけない彼女の目の前にいる唐変木である。
「じ、自分で考えろ!
私が知るものか!」
「え゛ぇ~~~!?」
「さ、さっさとシャルロットを追いかけるぞ」
「お、おう……いいのか?」
「いいから来い!」
「わ、わかった」
こうして二人はシャルロットを追いかけたのだが…………。
その後どうなったかはまた別の話。
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