プロローグ

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朝一で枕元の電話が鳴る 胡乱なことだ 休日の朝一に、ましてや、つい二日前に中東の紛争地域から帰ったばかりだというのに なんとなく相手の察しはつく だからわざと相手が話せないドイツ語で電話に出てやった 『Hier Riefenstahl(はい、リーフェンシュタールです)』 すると向こうから苦笑いしてるような声で帰ってくる 英語でだ 『おいおい、俺がドイツ語喋れないことぐらい知ってるだろ』 『えぇ、だからです』 『全く、酷い部下だねぇ』 そうケラケラと笑っているのは、いつも俺に仕事を伝える上司だ 『新しい仕事だよ、急ぎらしい』 『他の奴に回して下さい、いくらでも余っているでしょう。うちは無駄にデカい企業なんですから』 『無駄にとはまた辛辣だなおい、だがまぁ出来ればそうしてやりたいんだが、日本語の出来る奴ってのが条件の一つでな』 『……………………は?』
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