雪の日のスピカ

9/31
前へ
/31ページ
次へ
「よし……うふふ、逃げ切った。逃げ切ったぞー!」  ガッツポーズを決める命。  しかし、そこは閑散とした駅前の広場。  先程の青年の「ずべらっ!」が彼女のところまで届くのだ。つまり、奇声を上げ、ガッツポーズを決める命は先程の青年を含めた、多数の人間の注目を集めてしまっていた。 「ママー、あの女の子変ー」 「しっ、指しちゃいけません!」  そそくさと立ち去る。木枯らしが強く彼女を襲った。 「うぅ、寒っ。早くお家に帰らなくちゃなぁ……って、家ないじゃん!」  虚空にシュバッと突っ込みが入る。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加