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丸く懐かしい文字に目を落とし、僕は微かに笑う。
冬の匂いとストーブの独特の匂いが僕の肺を満たすのを感じた。
まだ昼の三時だというのに窓の外は薄暗く、しんしんと白い雪が降り積もっている。
静かなのにどこか優雅に、優雅なのにどこか楽しげに白い妖精は宙を舞う。それはまるで僕の心のように。
皐月がひとりで帰ってくるという不安と期待、心配と楽しみが入り交じった何ともいえない感情の高ぶり。
僕はそれを押さえることがとてもできなかった。
鉛色の空は僕らのことをきっと見守っていることだろう。
「皐月……君が心から決めたことならば、僕はそれをとめたりしないよ」
冬の匂いが立ちこめる部屋に僕の声が反響した。
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