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―ピピピピッ、ピピピピッ
「………ん……」
遠くの方で、目覚ましの音が聞こえる。
私はそれから逃れるように、布団にくるまって、寝返りをうった。
―ピピピピッ、ピピピピッ
それでも、目覚ましの音は聞こえる。
寧ろ段々と覚醒していくからか、さっきよりもはっきりと聞こえる。
もう、ここまで覚醒してしまうと寝れない。
私はいつものことだけど少しうんざりしながら、重たい瞼を持ち上げた。
「……………」
暫く、ぼーっとしていた。
その間も、目覚ましはけたましく鳴り響いている。
―ピピピピッピピピピッ
―ピピピピピピピピピピッッ
「あーっ!ああもうっ、煩いっ、目覚まし!!」
あまりの煩さに、私は跳ね起きて、ベッドの隣のサイドテーブルに置いてある目覚ましを思いっきり凪ぎ払った。
……ゴッという、物がかっ飛ばされる鈍い音がした気がする。
ピシッという亀裂音も、空耳でなければ、聞こえた。
続いて、ガコッという、物が床に落ちる音がした。
「…………あ……」
ベッドの下には、液晶部分にヒビが入った目覚まし時計が、目覚まし時計から飛び出てしまったと思われる、単3電池と共に転がっていた。
「……やっちゃった……」
無惨な見た目になってしまった目覚まし時計から逃避し目を背け、私は何時も以上にやたらズキズキとする頭に手を当てた。
私は中村 実桜。
低血圧故に朝がとても弱い、高校2年生の16歳。
商店街の隅っこにある、こじんまりとした、いかにも地元の花屋さんっていう感じの花屋の一人娘です。
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