突然な虚無

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「じゃあ、また明日な!」 そういって俺は友達と別れをつげた。 友達、家族の皆を大切にしている俺はごく普通で当たり前の一般人だ。 だってそうだろ? 「普通」の人は友達だって、家族だって大切にするもんだ。 今、別れを告げた友達もマジで大切に思っている。 家族だって大切に思っている。 だけど、俺も悔しくて毎日バカにされていた人がいた。 憎くて、腹が立って悔しくて。 でもそんな人はもうこの世にいなくなってしまった…。 どうしてだろう。 何も言えず他界してしまったあの人を思い出す度、苛立ってきてしまう。 そんなことを考えてるうちに、 「むーちゃん、お帰り✨」 「お帰りなさい。あとちょっとで晩御飯 出来るからね。」 と、妹と母親が言ってきた。 「むーちゃん、またムスッとしてるね💦 また晃にいのこと考えてたの?」 「そうだな。まあ今は俺のことそっとしておいてくれな?」 俺は妹の頭を撫で、仏壇に歩みよった。 「相変わらず、バカにしたような顔だな。」 そう言いながら線香をあげて手を合わせ、目をつむった その仏壇にいる写真の人物は俺の兄、晃 だった。 兄は妹が産まれる前、俺が幼かった頃… 兄と散歩中ケンカをして俺が道路にでた時にひかれそうになったところを庇って 亡くなってしまった。 ただ何かポツンとしてて、虚無だけが頭ん中に残っていた。 そのあとは何故か悲しみより悔しさだけが残っていた。 (いつも馬鹿にしていたヤツが突然いなくなってしまった、いつも俺に対して笑い者扱いしてたやつが消えた。) それだけを今でも頭の中に入れていた。 そのまま夜風にあたろうと、外にでた。 そういえば説明をしていなかったが、俺の名前は「睦月」ていう。 ただ、ちょっと説明が遅すぎた。 何でだって? 目の前にトラックがあるからさ…。 まさか、くそ兄貴と同じ運命を辿るなんて思いもしなかった。 その時は…
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