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時計は回る。それは当たり前のこと。時という共通基準が生まれた以上、時計が回るのは当たり前なのだ。
わたしは、そんなどうでもいい考えで頭の半数を埋めつつ、残りの半数で現実を見つめていた。
ウエイターが目の前に置いたコーヒーは、とうの昔に冷めてしまっている。モダンなジャズクラシックは耳から耳へと通り抜け、ガラス張りの壁面から見下ろす人の波は、燦々と地を照らしていた太陽が沈みきった今でもなお、途切れる気配を見せない。
街頭には明かりが灯り、スーツ姿の会社員の群れが流され、カジュアルな服装の若者達の群れが押し寄せる。
同じ土地、同じ建物たち、しかしそこに存在する人間によって異なる顔を見せる街。
これは当たり前のことなのだ。流転。それこそが万物の基本。時、形、存在、価値、感情、思考、関係。ありとあらゆる、全てのものは、移り変わらずにはいられない。
変わらずには、いられないのだ。
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