よんてんに、三年前のキリカと水留

4/13
前へ
/200ページ
次へ
「あれ、一菜ちゃん今掃除の時間じゃないですよ?」 ウチの中学は放課後に掃除を行う。 だが今は昼休み。 普通この時間に箒とちり取りを持っている筈が無い。 コイツは何を仕出かす気だ? 「そんなの分かってるワン。理由があって持ってるに決まってるワン」 「どうせ下らん理由に決まってる」 「ところがギッチョン、この二つは重大なアイテムなんだワン」 何だよ、ところがギッチョンって……。 いや、そんな事より、 「重大な……アイテム?」 「そうワン。みやび、手伝うワン」 「あ、はい」 ワン子が雅を連れて教室を飛び出していった。 ……アイツ、色んな意味で心配だぜ。 それから五分後――。 「……遅い」 何やってんだ? さっきから暇で仕方ねぇな。 どうすっかなぁ。 何もやることねぇし誰か喋る相手でも捜すか。 「お待たせワン」 「遅ぇぞ、何やっ……」 てたんだ、と言おうとした時だった。 ワン子の後ろで雅が何やらモゾモゾと隠れている。 しかも制服じゃない。 「おいワン子、その後ろにいるのは何で制服じゃないんだよ」 「これが箒の正しい使い方ワン!」 後ろに隠れている雅を前に出し、その姿をお披露目させる。 「………………」
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1543人が本棚に入れています
本棚に追加